今(一部で?)話題の映画を観てきました。
統合失調症の姉と、それを認めようとしない両親と、その様子を20年に渡ってビデオカメラに納めた弟(監督)のドキュメンタリーです。
※以下ネタバレ注意⚠️
色んなことを感じたし、書きたいことがたくさんあるはずなのに上手く言語化できないのが悔しいのですが。
とりあえず、もっと早くお姉さんが治療を受けられていたら…と思いました。
1983年に最初の症状が出てから、治療を受けるまで25年。
そのきっかけになったのが、お母さんに認知症の症状が出てお姉さんの面倒をみるのが難しくなったからっておい!
しかも、お姉さんに合う薬が見つかって3ヶ月後にはすごく回復してるんですよ。
今まで監督がいくら呼びかけても目も合わせなかったお姉さんがしっかり意思疎通できてて、おどけてピースサインもしてて。
こんなん見たら、余計に今までの時間は何だったんだよ!って思っちゃう。
更に悲しいのが、両親ともに医者で研究者なこと。
その気になれば普通の家庭よりもずっと良い病院や治療法を見つけやすかったんじゃないかと思うんだけど、両親は世間体を優先させたのか(あるいは娘の病気を受け入れたくなかったのか)家に閉じ込めることを選んだことがショックで。
もちろん昔は今よりずっと精神疾患に関する偏見や差別があったんだろうけど、でもさぁ……。
そして、お姉さんの本当に送りたかった人生ってどんなものだったんだろうかと切なく思ったりもしました。
両親からの無言の圧力を受けて4浪して医学部に入って、国試受けたくないって言ってるのに親は聞かないし問題集買ってくるし。
興味を示した占いはインチキ呼ばわりされるし。
治療を受けた後はあちこち出掛けたりして楽しそうな様子も写っていましたが、失われた時間の大きさを考えるとやっぱり切ない。
*
では、どうすればよかったか?
パンフレットやインタビューによると、監督は色んな人に相談したり、両親にお姉さんを病院に連れて行くよう何度も言っていることが分かります。
多分、この映画を観た人が思う「こうすべき・こうした方が良い」ということはどれも既にやっていて、それでもお姉さんが治療を受けるまでに25年かかっている。
もし自分が監督の立場なら、とうの昔に実家を捨てているんじゃないかなあ。
でも監督は(恐らく色んな批判や厳しい意見を受ける覚悟をして)カメラを回し続けてこの映画を作った。
もし、もっと早くお姉さんが治療を受けて寛解して家族全員で幸せそうにしているハッピーエンド!みたいな映画だったら、それはそれで素晴らしいことなんだけど、
こうして観た人に「どうすればよかったのか?」を強く考えさせる映画になったことが、これから先、もしかしたらとても多くの人を救うことになるかも知れない…とも思いました。
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